川村恵理写真展 「都市の肌理 touch of the urban skin」

先日、川村恵理さんの写真展に行かせていただきました。

「都市の肌理 touch of the urban skin」


被写体は、一見無機質でアノニマスな都市の一部。
しかし”肌理(きめ)”というタイトルから想像を働かせると、
都市の中にも「生命感/温もり」のようなものを微かに感じることができます。

ビルや階段、電線などの直線的なラインは、私も毎日通勤しながら気になる対象物。
表参道のタイルがモンドリアンの抽象絵画のように見えることも。

同じ都市の一部にフォーカスしているとはいえ、
川村さんの眼差しやアプローチは私とは違い、学術的で哲学的。
そして、女性ならではの優しさを感じます。
都市の中にある一瞬の光のきらめきや温かみのようなものがそこには在り、
都市の生命を感じ、心の機微が伺えます。

私は写真・絵画・文学などの芸術作品に触れることが好きですが、
その理由は他の何にも変えられない感動をもらうからです。
作品に対して一度だけでなく、何度も味わうことでしか得られない感覚を大切にしたい。
作品を通しての自分との対峙の場。
芸術に触れることは作家と心で繋がることができる、そんな気持ちにさせてくれます。
抽象的であればあるほど・情報が少なければ少ないほど、
私は想像する機会をもらい深く考えてしまいます。

-日々変わる景色を感じる視点-
そんな感覚を大切にしたいと思います。

深澤直人さんの近著で読んだものが印象に残っています。

-居心地の良いデザインとは-
抜粋させていただきます。)

人間が「いい」と感じる器官も変化している。
環境と物との関係が、人間の感受性に、
昔とは異なる刺激を与え始めているが、
しかし、美というものを感じ取る器官は、
そんなに変化してはいないのではないか。
いつも、「何が心地いいのか」を考える機会は必要だな、
と私は思う。

 

川村さんの写真を見たときに、色々な思いが込み上げてきました。
毎日見る景色を点で見るのではなく、時間の経過とともに
状況が変化していくことを想像し、その奥行きを感じること。
そこに川村さんの伝えたいことがあるように思いました。
そう捉えることで、一見無機質な世界も川村さんのおっしゃるように
愛おしく思えてきます。
そして私たちの営みも、その変化し続けるシーンに内包されているのかな、と思いました。

 

「都市の肌理 touch of the urban skin」の写真集・ポストカードなど
omotesando atelierで展示・販売させて頂いております。
ぜひお気軽にスタッフまでお声がけください。

 

staff 大久

 

川村恵理写真展

「都市の肌理 touch of the urban skin」

2021年7月8日(木)-7月27日(火)
12:00-19:00 水曜定休 /入場無料
東京都目黒区鷹番2-13-3 キャトル鷹番
BOOK AND SONS
03-6451-0845

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