果実と月と髪のリズム

 

「髪を切るということ07」にご出演の長田佳子さんのお住まいの地、山梨県甲州市は県内でも指折りの果樹地帯。

取材当日、車窓から見える『フルーツライン』という看板。甲府盆地の北斜面に位置するいくつもの果樹園をつなぐような広域農道で、すっきりとした路面と広い道幅、美しい景色が魅力的なドライブコースでした。

しばらく車を走らせていると、桃源郷のような葡萄畑の光景が目に飛び込んできました。
屋根状に広がる葉の間から色づく葡萄の房が、シャンデリアのようにぶら下がり延々と続いています。
採れたての葡萄はとびきり美味しく、旬のものをすぐにいただけることの豊かさを思いました。

素材のそばで暮らしたいとの思いから移住された長田さん。自然や土、生産者と近い場所に身を置くことで、お菓子づくりへの向き合い方だけでなく、生活のペースや価値観までも変化したといいます。

取材の日はスーパームーンと言われる満月の日でした。山々に囲まれたご自宅では、夜は真っ暗で月の明るさで月の大きさが分かると長田さんがおっしゃっていたことが印象的でした。

『髪を切るということ07』の文章にもあるように、髪を切ることと月のリズムが関係していることに気付かれた長田さん。
自然の中に身を置かれている長田さんにとって、それはとても自然のことのように感じました。

文:大久浩実(表参道アトリエ)

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