大阪市立東洋陶磁美術館で7月25日まで開催中の
特別展 『黒田泰蔵』
白磁の器によって世界的に知られる陶芸家・黒田泰蔵。
私は黒田泰蔵さんのことを、お店に入ってから知りました。
作品を目の前にして感じたのは、雄大さと繊細さ。
言葉で表現できない気持ち。
時が止まったような感覚と、いつまでも残る余韻。
白磁から派生して、”白”について少し考えたことがあります。
ユトリロ、川端康成、レオナール・フジタ、Maison Martin Margiela …
みな、白に魅せられた芸術家・アーティスト達です。
ここにひとくくりにできるほど、単純なことではないとは思いますが、
白という概念は、無でありながら有である。
答えがないからこそ突き詰めたくなる、そんな世界なのだろうか、
と私は思索にふけります。
この度、お店にて書籍『Colorful 黒田泰蔵』をお取扱いさせていただけることになりました。
黒田さんの白磁を思わせる真っ白な本を包む箱は、黒田さんの黒。
本の中身はタイトルにもあるように、カラフルな黒田さんの世界が広がっています。
黒田さんの愛したものと生活空間の写真、それぞれに秘められたエピソードを、
本人の柔らかな語り口で綴った一冊です。
白磁に至る前に制作していた過去の作品の写真や、
これまであまり紹介されることのなかった制作風景も掲載。
資料としても貴重な内容がたっぷり詰まっています。
本をじっくり読ませて頂きましたが、静謐な白磁の世界からは想像できない、
こんなにも豊かでふくよかで色彩に満ちたもので溢れていたんだと感じました。
本の後半にでてくるタイトルに、
「普通のもの 。」とあります。
(そこから少し抜粋させていただきます。)
僕は、「普通のもの」を作りたいんです。
普通って僕の考えでは個性的ではない。もっと人間共通のもの。
だから、できるだけ個の個性は消していきたい。
変わったものは作らない。
シンプルな形が、個性を消すのに最適だと思うから。
で、自分の個性を消す作業をずっと繰り返していったら、
ひょっとしたら人間共通の個性が生まれるかもしれない。
もし、人間の個性まで消すことができたら、
哺乳類の個性にたどり着けるかもしれない……
それは映画「2001年宇宙の旅」の中に現れるモノリスみたいなものが
生まれるかもしれない。
そういうものを、僕はうつわで作りたいんです。
……
白磁っていうのは、すごく抽象性の強い世界で、
言語化できない言葉を形で現すことだと思う。
例えば、「イエス」と「ノー」の間の言葉。
それを僕はやきもので表現しているんだと思う
深呼吸をしながらじっくりと読ませていただきました。
書籍『Colorful 黒田泰蔵』
気になる方はお気軽にスタッフまでお声掛けください。
staff 大久