ちょっといいふつう

はじめまして。
3月からomotesando atelierにスタッフとして入りました大久浩実(おおひさひろみ)と申します。

簡単に私の自己紹介を。
私は20年ほど前から高柳にカットをしてもらうお客さんでした。

ご縁ありお店の仲間として迎え入れてもらい、業務面のお手伝いや掃除からスタートし、ちょうど今日で3ヵ月が経ちました。

– 二つの視点 –
[お客様として][お店のスタッフとして]を持つ私だからこそ発見することがあります。
3ヵ月の節目に、お店が大切にしていること・高柳の頭の中のこと・そのほかの日常など、私からみなさまに伝えられることがあれば、と今後少しずつblogを書かせていただきたいと思います。

 

◆ちょっといいふつう

髪を切りたいと思うのはどのようなときでしょうか。
ここで改めてお店のコンセプトである「ちょっといいふつう」について、紐解いてみたいと思います。

私がお客さんの時代に「ちょっといいふつう」のことは理解しているつもりでしたが、お店に入り実は理解がずれていることが分かりました。高柳の言葉だけでなく、施術の様子を近くで見させてもいながら、ようやくお店のコンセプトを理解することができ始めました。

「ちょっといいふつう」を説明するにあたって重要なのが、「違和感」です。

髪の毛は1日あたり0.3ミリほど伸びています。1ヶ月で約1センチ程度伸びるので、時間の経過とともに、髪が重くなったり長くなってまとまらなくなるもの – 違和感 -(髪の重さ、長さ)が出始めます。

 

◆違和感の見極めと観察力

大切なのは、その「違和感」がどこにあるのかを見極めること。
そこには「観察力」が必要です。

人それぞれに合ったヘアスタイルを提案するには、客観的に等身のバランスを捉える力が必要です。その力を養うため高柳は2012年5月にセツ・モードセミナーに入学しデッサンの勉強を始めました。お店ではこれまでにデッサン会を定期的に開催していました。美しいバランスを引き出すには、よく観察することはとても大切です。

omotesando atelierでのデッサン会の様子

◆お店の考える「ちょっといいふつう」のイメージ図について

例えば、月に必ず1度カットをしている人でも、季節や食生活などによって髪の伸びる速度は違うので、「違和感」の出方はいつも同じとは限りません。
そして、その「不要な違和感」を丁寧にカットで取り除いてあげます。
また、あえて「エッセンスとしての違和感」をほんの少しだけ足してあげる。

そうすることで、その人が本来もつ「美しさの輪郭」が浮き出てきます。

 


この図の黒と白の部分は、いろいろなことにあてはまります。
例えば、

【モード】と【ナチュラル】
【マキシマム】と【ミニマム】
【オン】と【オフ】

など。

その両極の間にある重なる部分の“ふつう”こそが本来の自分だと考えます。
ただし、このラインは流動的であり、たとえ同じヘアスタイルをいつもオーダーしたとしても、カットしたタイミングや季節、その人の心の状況などによって変化し、決して同じではないのです。

 

◆「整える」ということ

”ふつう“という状況は、環境や状況の変化に伴って常に揺らいでいます。
昨日当たり前で”ふつう“だったことが、明日は”ふつう“ではないかもしれない。
だから、omotesando atelierの提案する「ちょっといいふつう」というのは、
常にアップデートされ、「ふつうを超えたふつう」なのです。

そして、この「ちょっといいふつう」を引き出してあげる作業こそ、
「整える」ということなのです。

作り出すものではなく「輪郭」は導かれるのです。

「ふつう」という言葉は人によって捉え方が違い、抽象的です。
お店のコンセプトを理解するのに、私はとても時間がかかりました。
日々お店と向き合いながら、ようやくこの理解に辿り着きました。

しかし、「分かりにくさ」というのは今の時代とても大切なキーワードだと思っています。
情報がすぐ手に入る時代だからこそ、真に理解したい。

高柳の視点や頭の中は、自分の今まで持っていた価値観を覆されることが多く、自分の常識を見直すきっかけを投げかけてくれました。

 

これからも少しずつ、発信していきますので、
今後ともお付き合いのほどよろしくお願いいたします。

 

staff 大久浩実

 

facebook