野原かおりさんのアトリエを訪ねて

ワイエスの絵のような世界
細胞は感じていたはず  

この土地の営み、風、温度
自分を包み込んでくれる家

今年の2月、gallery traxで行われた個展で初めて作品に触れたときに添えられていた野原さんの言葉です。

作品の生まれた背景として、場所や空間がとても大切なのだと思いその理由を肌で感じるため、野原さんのアトリエを訪ねました。

八ヶ岳の麓
端から端までを一望できる場所
家の前の大きなリョウブの木
祭壇を思わせるような岩塊
野原を吹き渡っていく風
小川の水面の光粒

太古からずっと変わらぬ景色

このエリアは縄文土器や土偶などが出土していることでも知られています。
数年前に都内からこの地に移住をして、野原さんご自身の感覚も変化していったそうです。

 

『新しい土地で新しい家に住みだし、底に溜まっていた意識が溢れ出してきたのだと思う。
あなたはあなたなのだと。家に父性のような安心感を感じ、守られ、私は2年間線を描き続けた。この家に暮らし始め、描かずにはいられなかった。目的もなくひたすらに、それはとても自由で開放され、満たされた時間だった。』

 


人の居場所をつくること、自然との調和を大切にされている日本を代表する建築家である内藤廣さん。新しい住まいの設計は内藤さんにお願いをされたと伺いました。

野原さんは、自然を敬い人を想い生きることを許されたような感覚になったと言います。
そこから生まれたドローイングは、絵を描くというよりも、日常から解き放たれ自分自身に還っていく行為だったそうです。

形に想いはなく、線を重ねていく
震えや揺らぎ ためらい
かすれ 墨の溜まり

野原さんご自身の作品ではあるものの、自分という意識から離れ、別のアイデンティティとしてとらえていらっしゃる気がしました。

野原さんのドローイングには、絵を紐解くものとして、詩人 石田瑞穂さん、建築家 内藤廣さん、詩人 ぱくきょんみさんの言葉が寄せられています。

詩や言葉から想像されるもの
絵と言葉を重ねることで浮きあがってくるもの

展覧会では、添えられた言葉の違いから、立ち上がってくるイメージの変化を感じられるのではないでしょうか。

 

今回の展示の時期に合わせて、新しく詩画集が出版されます。

『あの夏の砂つぶが』
ぱくきょんみ 詩  野原かおり 画

国際ポエトリィサイト「crossing lines」およびomotesando atelier奥の部屋で開催される個展の企画として、詩人のぱくきょんみさんを招いて制作されました。

https://crossinglines.xyz/special/from_nowhere_to_anywhere/

展覧会では、以前もご紹介させていただいた「どこからともなく どこへともなく」のドローイング集と合わせて、奥の部屋で販売させていただきます。

『あの夏の砂つぶが』
ぱくきょんみ 詩  野原かおり 画
¥2,420(税込)
https://sibira.xyz/book/2.html

また、DMを下記にて配布させていただいています。
(数に限りがありますので配布が終了していましたらご容赦くださいませ。)
※リンク先にとべるようになっております。

〈アート施設〉
東京都現代美術館
gallery trax

〈書店〉
ユトレヒト
twililight
book and sons
本屋B&B
SPBS本店

〈shop〉
on the shore
THE LIBRARY表参道店
i ro se

〈宿泊施設〉
穂高養生園
all day place shibuya

展覧会にはどなた様もお越しいただけます。
お近くへお越しの際はお立ち寄りください。

【基本情報】
どこからともなく どこへともなく
野原かおり ドローイング展
会期:2022.9.23(金)−10.2(日)
[close:9/27(火)]
時間:11:00−18:00
場所:東京都渋谷区神宮前4-3-18
omotesando atelier奥の部屋
(入口はサロンとは別の入口からのご案内となっております。)

staff 大久浩実

 

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