内藤 礼 《母型》 2022[2009] 水、ガラス瓶 photo: 畠山直哉
冬晴れの日。
葉山の海と山を車窓から味わいながら、到着するとイサム・ノグチのかわいらしい彫刻が出迎えてくれました。
白い部屋
わずかに揺れる風船
鏡 花柄の布
水 光
1月22日(日)まで神奈川県立近代美術館 葉山にて開催しています。
訪れてみてはいかがでしょうか。
staff 大久浩実
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[公式作品解説より抜粋]
鎌倉館の個展では、池や中庭への眺めをひらく彫刻室の壁際、
そしてテラスの手すりに、 水を満たした《無題》のガラス瓶が点在していた。表面張力で盛り上がった水は、重力が懸垂曲線を描くビーズの《恩寵》[no. 1]と同様に、自然現象による美しい造形を生む。
生命を受け取ったことを伝える行為として、自然に向けて「返礼」の水を捧げるガラ ス瓶の作品を発表してきた内藤は、水を入れた瓶は生者の表象でもあり、空になった瓶に表象される死者——次の生者へとみずからの水=生命を送り、生をつなぐ存在——あるいは未生の存在によって、生は在るのではないかと考えた。
空のガラス瓶を逆さに伏せ、その上に水を入れた瓶を重ね置いたとき、互いの底面を接した二つの瓶が、地中の 根とそれが支える地上の植物にみえたという。
生と死の循環を初めて 2 点組の瓶で構成した本作では、鎌倉館で展示されたガラス瓶に再び水が満たされ、記憶と新生の場へ召喚されている。